2024年09月28日
本場英国のボーディングスクールを経て、英国名門インペリアルカレッジ卒業後に昨年、留学エージェントおよび学習サポートの会社を起業したMoi Education(モアエデュケーション)代表のMakiさんに自身のボーディング体験や留学を検討する時に大事なポイント、モアエデュケーションならではのサービスなど聞きました。
世界各国から文化や習慣、言語が違う生徒たちが共同生活をしながら国際感覚を養い、知識や教養も身に着けられるボーディングスクールが近年、日本人にも注目され始めています。
本場英国のボーディングスクールを経て、英国名門インペリアルカレッジ卒業後に昨年、留学エージェントおよび学習サポートの会社を起業したMoi Education(モアエデュケーション)代表のMakiさんに自身のボーディング体験や留学を検討する時に大事なポイント、モアエデュケーションならではのサービスなど聞きました。
Q. Makiさんが英国のボーディングスクールに留学しようと思ったのはなぜですか?
私は16 歳の時、日本の高校1年生の時に渡英しました。もともとは米国に留学経験のある母親が私にボーディングスクール留学を勧めてくれたことがきっかけでした。
スイスも留学先として一時検討したのですが、学費が高いですし、英語の素地がないとは入れない学校が多い。
日本で私はインター校ではなく都内の私立中学に通っていたので、当時の英語力では難しいと思いました。
中2の時に英国のサマーキャンプに参加して英国の雰囲気が気に入り、また安全な環境で学べるということで英国に留学を決めました。
Q.最近はボーディングスクールへの入学の低年齢化が進んでいると聞きます。
ボーディングスクールはだいたい8歳から受け入れているところが多く、日本人でも小学生から行く方が増えています。
弊社のお客様で現在最年少は小学生ですが、お子様が産まれる前からエージェントに相談に行く方もいると聞きます。
Q.ボーディングスクールに行くなら早い方がいいということなのでしょうか?
私の場合は、日本で義務教育を終えてからがいいという親の判断から中学卒業まで日本の学校にいました。ただ、振り返ってみると、最終的に英国の大学を目指すのであれば、早く留学した方が友達も作りやすいですし、共同生活にも溶け込みやすいと思います。
英国には義務教育修了資格であるGCSEと、高校卒業資格であるAレベルという二つの国際資格があって日本の高校1年生がGCSEの2年目に該当します。
通常GCSEは2年間なのですが、留学生を受け入れている学校には1年のIGCSEコースもあります。IGCSEというのは International GCSEの略称で、インターナショナルスクールで多く採用されています。
高校からの留学だと、私のように1年でIGCSEを取得し、その後2年間でAレベルを取得して大学進学という道を選択する日本人は多いです。ただ、1年で2年分を勉強するのはかなり大変でしたし、早い段階で海外大学進学が決まっているのであれば中3までに留学するのが理想的だと思います。
英国には歴史のある立派な建物のボーディングスクールがたくさんある
Q. ボーディングスクールに行かなくても、大学から海外留学するという選択肢もあるなかで、なぜボーディングスクールを選択する親が増えているのでしょうか?
ボーディングスクールでしか味わえない経験ができるからではないでしょうか。
日本でも近年、日本人を受け入れるインターナショナルスクールが増えていますし、海外のボーディングスクールに対する抵抗感が薄れているということもあると思います。アジアのボーディングスクールはアジア人が中心という学校が多いと思いますが、英国のボーディングスクールには、もっと多国籍でいろんなバックグラウンドを持つ生徒が集まってきます。
また英国の学校は日本国内のインターに比べて敷地がはるかに広大で、サッカーコートが何面もあったり、日本ではなかなかできないライフル射撃や、スキューバダイビング資格の取得が取れたり、クリケット、乗馬などの体験もできます。
得られる経験値は桁違いで、そういったところからもたくさんの学びがあると考えています。
Q.ご自身がボーディングスクールで学んでよかったと思うのはどんなところですか?
共同生活になるので、一番は周囲の同級生に比べて早く自立心が芽生えたというところでしょうか。
たとえば、ベッドシーツを自分で毎週交換して洗濯するのですが、もし家族と生活していたら母親がやってくれるので洗濯機の使い方もわからなかっただろうなと思います。あと、この曜日にこれをやるというルーティーンが決まっているので、それに合わせてタイムマネジメントをする必要もあります。
自分で考えて、自分で決めるということが早くから身につくことが、大人になっても活きるスキルになっていると思います。
Q. ご自身の経験をもとに昨年8月にモアエデュケーションを立ち上げました。具体的にどんなことをされているのですか?
ボーディングスクール受験や海外大学への正規留学のサポートや学校選び、出願に向けた書類作成のお手伝いなどをしています。ご支援の対象年齢は8歳から18歳です。
また、英国や米国のトップ校に通う現役の日本人学生が主に講師を務めるオンライン家庭教師も提供しています。首都圏限定で何人かは対面で家庭教師も派遣しています。
留学サポートには、「ガーディアン」と呼ばれる現地で保護者のような役割を果たす方を探すお手伝いや、留学中の支援も含まれています。
モアエデュケーションは丁寧なカウンセリングで一人一人にあった提案をしている
Q.いわゆる留学エージェントというイメージですが、どんな特徴がありますか?
ボーディングスクールや海外大学に留学し、現地での受験も経験した私自身がコンサルタントをしているところが強みです。
大手の留学エージェント会社でもスタッフが留学経験があるところは意外に少ないですし、エージェントに現地校の知識はあっても入学後の生活支援や、アカデミック(学業)の支援までワンストップで行える専門家はまだ少ないと思います。
実際、留学先の選定は他のエージェントにお願いしているお客様が、アカデミックの相談は弊社にされるということがあります。
いくつも相談先があるのは大変ですし、学校選びだけでなく、その先も継続した支援ができる方がお客様にはメリットがあると思います。それから、弊社の留学相談はオンラインで完結するので、わざわざ留学エージェントのオフィスを訪ねる必要もなく、いろんな国の時差にも対応しています。
Q.そもそもどうして起業しようと思ったのですか?
自身が起業に至るまでの経験を語るMakiさん
大学時代に私自身が家庭教師をしていた経験からです。
大学卒業後に日本に帰国して会社員勤めをしていたのですが、父親の影響もあり、幼い頃から何かで起業したいという気持ちがありました。自分に何ができるか考えた時に、ふと大学時代にサポートしていた生徒さんのことを思い出しました。もう一度イギリスのカリキュラムの生徒募集をしてみたところ、お客様が集まってきたのです。
最初は私が教えていたのですが、生徒数も増えてきたので講師は現役大学生に任せて、私はコンサルティングの方に注力するという今の体制になりました。なので、事業としてはオンライン個別指導から始まり、それに関連してご相談が多かった留学サポートの事業も開始したという流れになります。
このバックグラウンドが、モアエデュケーションがアカデミックに強い留学エージェントである由縁です。
Q.エージェント契約をしている学校にはどんなところがありますか?
英国を中心に、米国、マレーシアのボーディングスクール数校と契約しています。
弊社から紹介する学校は、どこも私がまず現地に足を運んで担当者と話をして学校の雰囲気を確かめています。
契約校の中で生徒様の条件に合う学校がない場合は、改めてお探しし最適な学校を見つけます。数ある学校の中から選べないというお客様がご相談に来るので、契約校数が多ければ良いということではなく、私自身が厳選した学校をご紹介することに意味があると思っています。
Q.学校を視察する際のポイントはありますか?
ボーディングスクールであれば、施設の充実度もそうなのですが、個人的には雰囲気を重視します。
たとえば、学校スタッフのフレンドリーさや生徒との距離など、「自分がこの学校に通ったらどうか」を想像しながら生徒視点で判断しています。
単身で外国の学校に通うと、環境に馴染めず孤立してしまう留学生もたまにいて、それを防ぐためにも雰囲気がそのお子様に合っているかどうかは一番大事になります。
Q.オンライン家庭教師の方はどんな体制なのですか?
講師はいま登録者数で英国・米国在住の40人ほどです。日本在住の講師も一部います。
採用の際は私が面談をして、大学と専攻、いままでの海外経験、修了したカリキュラムや指導経験などを確認します。
講師の半数以上は現役の大学生または大学院生で、一部は卒業後にビザを取得して現地に残っている人もいます。
出身校で一番多いのは私の母校インペリアルカレッジロンドンです。
インペリアルは理系の大学なので、主に理系科目の指導をお願いしていて、ほかにもUCL、キングスカレッジロンドン、マンチェスター、ケンブリッジなど英国の大学生が多いです。
オンライン授業は場所を問わず時間もフレキシブル
Q.講師は日本人なのですか?
はい。現在在籍しているのは全員日本人で海外留学を経験しています。
講師を日本人にするメリットとしては、生徒様も現在日本人がメインなので、母国語を理解できる先生がいると安心という点です。学校の授業が英語の場合、授業は基本的に英語で行いますが、細かいニュアンスは日本語で確認したいなど、ご要望に応じて言語を使い分けます。
IGCSEやAレベル、IB(国際バカロレア)といった、国内外で採用されている国際カリキュラムをお主に指導しており、他にはIELTSやTOEFLといった英語資格試験の対策や、SAT、帰国生受験のサポートなど幅広く対応しています。
家庭教師をご利用の生徒様には、担当講師にいつでも質問ができるチャットサポートがついています。
また、授業を担当する講師のほかに、私がコンサルタントとして大学入学までの進路指導を行っているのも特徴です。親御様もチャットからいつでもコンサルタントにご質問、ご相談いただけます。
特に多いのが、UCASに提出するパーソナルステイトメントの書き方や、そのためにどのような課外活動を行えば良いか、最近だと奨学金のご相談も多いです。
海外の教育システムに詳しくない方も、このようなサポートのおかげで安心できるとお声をいただいています。
チャットサポート付きでいつでも講師やコンサルタントに質問ができる
Q.奨学金という話が出ました。海外留学はどうしてもお金がかかるというイメージがありますが、一般家庭でも留学は検討できるものでしょうか?
英国は円安の影響でかなり高くなっているのと、授業料自体も毎年上がっています。来年1月からは授業料に対してもVAT(付加価値税)がかかるようになると発表されています。
そうなると、いまの授業料は20%跳ね上がり、ボーディングスクールだと年間の費用が1千万円を超えてくることも普通になってきます。
ボーディングスクール留学に使える奨学金としてTazaki財団の奨学金制度があります。
Aレベルの2年間と大学の正規留学の費用と滞在費がカバーされるものですが、このような全額支給の奨学金はまだ少なく、ボーディングスクール進学は一般家庭には手の届きにくいものになっています。費用を抑えながら英国ボーディングスクールと同じ水準の教育を受けたいという方には、マレーシアなどアジアのインターナショナルスクールが人気です。
イギリスに比べて授業料は半額くらいで、ブリティッシュスクールであれば英国大学進学のサポートもしっかりしているので、選択肢の一つになるかと思います。
一方で大学留学については全額支給の奨学金がもう少し多いです。
2017年から始まった柳井正財団や笹川平和財団の奨学金は、一部の高額なコースを除くと学費は全額カバーされ、生活費も支給される手厚いものです。もちろん、こうした奨学金を獲得するのは狭き門ですし、応募条件もあります。
モアエデュケーションの講師陣にはこれらの財団の奨学生もいるので、応募に向けたアドバイスも行っています。
Q.学校や企業との連携も模索されているそうですね。
はい。今秋から都内にあるローラスインターナショナルオブサイエンスでアカデミックアドバイザーを務めることになりました。
高等部ができるタイミングに合わせて、主に海外大学進学に関してのサポートをしていく予定です。
ほかにもシンガポールやマレーシアのインターナショナルスクールとも、英語力の弱い日本人生徒を対象にした支援プログラムを提供するなど、提携に向けて話を進めています。
私の目標が、いろいろな組織や教育機関のアドバイザーとなって日本人の教育環境を良くしていくことなので、それに近づけるように更に専門性を磨いて頑張っていきたいと思います。
YouTubeでは留学生との対談や受験情報を発信しています。各種SNSでもお役立ち情報を掲載しています。
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Moi Creation株式会社で展開する教育事業の総称。モア(Moi)は仏語で「私」という意味で、英語のモア(More)とかけて、お客様一人ひとりの可能性を広げるという意味を込めて名づけた。
高校から日本を離れて生活してきたMakiさんに帰国後の苦労を尋ねると「社会人になって最初の頃はビジネスメールでの日本語の言い回しなどがわからなくて苦労しましたが、いまはもう大丈夫。
就職先で会計・税務コンサルの仕事をしたことが起業に役立ちました」と話してくれた。
モアエデュケーションは10月14日(月・祝)に東京・飯田橋で、10月26日(土)にシンガポールで開催される国際教育フェア2024秋(https://ieexpo.net/)にも出展します。
直接Makiさんに話を聞いてみたい方は、ぜひフェアに足を運んでみてください。
(取材・編集:都留悦史)
この記事の記者
モアエデュケーションのMakiさんこと、西川満希子代表